こんにちは、工房画房 一点物工芸師の甕邨(ようそん)です。ご来訪いただき、ありがとうございます。
水彩絵の具を使っていたころ、先生から「基本的に黒は使わない」という話を聞いたことがあります。そのため、今でも基本的に黒は避けています。絵の具の黒は少し不自然に見えがちで、景色の中では浮いてしまうことが多いです。私はその代わりに「ペインズグレイ」という色をよく使います。
しかし、最近黒を使うことも再び検討するようになりました。そこで手元にあった黒を探してみたところ、ランプブラック、ジェットブラック、マースブラックの3種類が出てきました。正直なところ、最初は「黒は黒だろ?」と思っていましたが、調べてみるとそれぞれ異なる特性があることがわかりました。
ランプブラック、ジェットブラック、マースブラックの違いとは?
黒色顔料は、絵具やインク、化粧品などさまざまな用途で使用されます。特に、ランプブラック、ジェットブラック、マースブラックは人気が高い3種類です。それぞれの特性を知ることで、作品や用途に合わせて最適な黒を選ぶことができます。ここでは、これら3つの黒色顔料の違いについて説明します。
ランプブラック(Lamp Black)
• 原料と製造方法: カーボン(炭素)を原料に、炭化水素の不完全燃焼から得られます。昔は油ランプのすすを集めて作られていました。
• 色調と特性: やや暖かみのある黒で、艶が少なく落ち着いた色合い。混色すると深みのある色が得られます。耐光性が高く、長期間色あせしにくいのも特徴です。
• 用途: 絵の具やインク、プラスチックなど、特に落ち着いた黒が求められるアート作品に最適です。
ジェットブラック(Jet Black)
• 原料と製造方法: 化石化した木材(ジェット)や合成炭素ブラックから得られ、高温で炭素を処理して作られます。
• 色調と特性: 青みがかった深い黒色で、光沢があり高級感が特徴。耐光性はやや低いものの、深い黒を表現できます。
• 用途: ファッションや宝飾品、化粧品(アイライナーなど)に多用され、高級感のある仕上がりに向いています。
マースブラック(Mars Black)
• 原料と製造方法: 酸化鉄を原料に、無機顔料として生成されます。耐久性が非常に高く、耐紫外線性に優れています。
• 色調と特性: 青みがかった寒色系の黒で、非常に不透明で強い遮蔽力があります。
• 用途: 塗料や自動車塗装、プラスチックなど、耐久性が求められる用途に使用されます。
まとめ
• ランプブラック: 暖かみのある黒で、耐光性が高く、落ち着いた印象の黒。
• ジェットブラック: 青みがかかった深い黒で、光沢があり、高級感が特徴。
• マースブラック: 寒色系の黒で、耐久性が高く、工業用の塗料にも適している。
それぞれの黒色顔料には異なる特性があるため、アートや製品の用途に応じて最適な黒を選ぶことが大切です。私は普段アニメ系のイラストを描いていますが、これからはこれらの違いを意識しながら黒色を使い分けていこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。ぜひまた次回の記事もお楽しみに!